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「ワキガ・多汗症」手術法②

●皮下組織掻爬法
ワキに小さな切り込みを入れ、そこから「キューレット」と呼ばれる、スプーン状の器具を差し込んで汗腺類を掻き出す方法です。この方法を用いると、先に挙げた手術法に比べて傷跡も比較的小さくて済むことが最大のメリットです。しかし、小さな穴から手探りで汗腺類を掻き取るので、やはり熟練した技術が必要です。経験の浅い医師では、周辺の組織を傷つける可能性もあります。その結果、術後の回復に時間がかかったり、逆に慎重になりすぎて汗腺類が取りきれず、十分な効果が得られなかったりという事態も考えられます。この方法も、最近では治療効果や術後経過の不安定さから、次第に行われなくなっているようです。

●皮下組織削除法
皮下組織掻爬法ではキューレットというスプーン状の専用器具を用いましたが、皮下組織削除法は、ハサミ状の専用器具を使って皮膚内の組織を均一に削ぎ取るという方法です。この器具は、片方の刃に当たる部分にはローラーが、もう片方には皮下組織を掻き取るための刃がついています。ワキに1センチほどの切れ目を入れて、刃の方を皮下組織に差し込みます。そしてローラー部分を皮膚表面に当て、転がしながら皮膚内の組織を均一に削ぎ取っていきます。この方法は、上手く施術すればアポクリン汗腺だけでなく、エクリン汗腺や皮脂腺まで取り除くことが可能で、「ワキガ・多汗症」の両方を治療することが可能です。

しかし、一度に広範囲の施術をすることは難しく、それが最大の欠点と言えるでしょう。ワキ全体を行うには、結局、数カ所に切れ目を入れますから、小さいとは言え、多くの傷跡が残ってしまうことになります。また皮膚を薄く削り取るため、皮膚に黒ずみが残りやすく、かなり熟練した医師の技術が要求されます。技術が未熟だと、皮膚に穴を開けてしまう可能性もあります。3日間の入院と、術後1週間はワキを固定しておく必要があるなど、手術後の生活への支障も覚悟しなければなりません。手軽さという点から考えると、まだ課題の残る方法かもしれません。